せり取引と相対取引の違い
水産市場で行われる「せり」と「相対」の仕組みを解説。それぞれのメリット・デメリットと価格への影響を説明します。
せり(競り)取引とは
せり取引とは、卸売業者が仲卸業者や売買参加者に対して、競争入札の形式で商品を販売する方法です。水産市場のせりでは、せり人(オークショニア)が商品を提示し、複数の買い手が声や手振り(手やり)で希望価格を示します。最も高い価格を提示した買い手が落札する仕組みです。
せりの最大の特徴は、需給バランスがリアルタイムに価格へ反映される点にあります。入荷量が少なく買い手が多ければ価格は跳ね上がり、逆に入荷が潤沢であれば手頃な価格に落ち着きます。この透明性の高い価格決定メカニズムが、せりが長年にわたり市場取引の基本とされてきた理由です。
相対取引とは
相対取引は、卸売業者と仲卸業者(または買参人)が1対1で数量・価格を交渉して合意する取引方法です。せりのような公開の場ではなく、個別の商談で成立します。事前に電話やFAXで注文を受け、翌日の入荷分を確保するケースも多く見られます。
相対取引では、継続的な取引関係に基づいて安定した価格が設定されやすいのが特徴です。飲食店やスーパーなど、毎日決まった品目を仕入れたい買い手にとっては、価格変動リスクを抑えられるメリットがあります。
取引割合と近年の傾向
現在の豊洲市場では、水産物取引の約8割が相対取引で行われています。これは全国的な傾向であり、かつてはせりが主流だった市場でも、効率性や安定供給の観点から相対取引の割合が年々増加しています。
ただし、マグロや高級鮮魚など一部の品目では、依然としてせり取引が重要な役割を担っています。特に毎年1月の「初競り」で天然クロマグロに驚異的な高値がつくことは、ニュースでもおなじみの光景です。
価格への影響
せり取引では複数の買い手が競り合うため、希少な商品や品質の良いものに高値がつきやすい傾向があります。一方で、需要が低い場合には市場実勢より安くなることもあり、価格の振れ幅が大きくなります。
相対取引では前日や当日朝の相場情報をもとに交渉が行われるため、せりほど極端な価格変動は生じにくく、安定した取引が可能です。当サイトで表示される「高値」「中値」「安値」には、両方の取引形態の結果が含まれています。